
会員制サイトとは、登録したユーザーだけがアクセスできるコンテンツやサービスを提供するウェブサイトのことです。webを通じたサービスやコンテンツの提供がスタンダードになった現在では、webサイトには会員制か否かの2種類しかない、と言っても過言ではないでしょう。
会員制サイトは、その名が示す通り、会員がいて初めて成り立つものです。そのため、会員制サイトの構築・運用には、会員管理が絶対不可欠です。
そこで、この記事では、会員管理の側面から、会員制サイトを構築するにあたって検討すべきことを解説します。
1.会員管理における会員制サイトの役割を理解する
会員管理という側面から見ると、会員制サイトには次のような役割があります。
□会員情報の管理
登録フォームやマイページを通じて、会員(ユーザー)登録の窓口として、また、登録後は、会員自身が会員情報(資格・会員ランクなど)を確認するための場所として機能します。
□コンテンツ・サービスの提供
有料記事、ファイルのダウンロード、動画視聴といった会員限定のコンテンツを提供します。その際は、会員種別やランクに応じてコンテンツを出し分けます。
□コミュニケーションとエンゲージメント
メールやニュースレターの配信、フォーラムやコミュニティ機能の提供を通じて、管理者と会員、また会員同士のコミュニケーションを可能にします。また、イベントやアンケートを行う際には、アクティビティの追跡と分析が可能になります。
このように、会員制サイトは「会員の管理」と「会員向けサービスの提供」を両立させる仕組みとして機能します。
会員制サイトを構築するにあたっては、まずその仕組みが必要かどうか、そして、仕組みを実現するためにはどのようなツールを利用すればよいか、自団体・組織の目的や状況を前提に検討することが重要です。
2.CMS vs フルスクラッチ開発 vs SaaS
会員制サイトを作ると決めたら、次はどのように作るかを検討する時です。その際に考慮する手段は、大きく分けて、1.CMSを利用する、2.フルスクラッチで開発する、3.SaaSのシステム利用する、この3つです。
それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
1.CMS(自社で開発、自社で運用)
例)WordPressと会員管理プラグインで構築。独自ドメイン・サーバーを用意し、自社で運用。
〇 メリット
- 比較的低コスト(基本的に、サーバー代+プラグイン費用のみ)
- 一定のカスタマイズが可能(プラグインやテーマ変更で対応)
- コミュニティの情報が豊富(トラブル時に調査しやすい)
× デメリット
- セキュリティ対策が自己責任(不正アクセス対策が必要)
- 大規模運用には不向き(アクセス集中時の負荷対応が必要)
- 機能追加に限界(複雑な要件は独自開発が必要)
2.フルスクラッチ開発(ゼロからシステム構築)
例)要件定義から設計・開発・運用まで内製、または外部開発会社に依頼。
〇 メリット
- 完全なカスタマイズが可能(業務フローに合わせたシステム構築)
- 拡張性が高い(規模拡大や他システム連携が柔軟)
- データを完全に自社管理(自社のセキュリティ基準・コンプライアンス対応を組み込める)
× デメリット
- 開発コスト・期間が大きい(概ね、数百万〜数千万円+開発期間6ヶ月以上)
- システムメンテナンスにコストがかかる(バグ対応・アップデートが必要)
- 仕様変更に時間がかかる(追加開発のたびにコストが発生)
3.SaaS利用(既存のクラウドサービス)
例)すぐに利用できるクラウド型会員管理システム。ベンダーがセキュリティ・保守管理。
〇 メリット
- 導入コストが低く、短期間で導入可能(最短、契約後数日で使える)
- システムの保守・セキュリティが不要(ベンダーが管理)
- すでにある機能を利用できる(会員管理、決済、イベント等)
× デメリット
- ランニングコストが発生(会員数、データ使用量等による従量課金)
- カスタマイズに制約がある(独自機能は追加開発が必要)
- サービス終了リスク(ベンダー依存)
💡 3つの選択肢の比較表
CMS利用 | フルスクラッチ開発 | SaaS利用 | |
導入コスト | ◎(安い) | ✖(高額) | 〇(安い) |
ランニングコスト | ◎(サーバー代のみ) | △(保守費用) | △(月額) |
導入スピード | △(設定に時間) | ✖(開発に時間) | ◎(すぐ使える) |
カスタマイズ性 | △(プラグイン対応) | ◎(自由) | △(ベンダー次第) |
拡張性 | △(一部可能) | 〇(設計次第) | △(ベンダー次第) |
セキュリティ | △(自己管理) | 〇(設計次第) | 〇(ベンダー管理) |
メンテナンス負担 | △(自己対応) | ✖(フル対応が必要) | ◎(不要) |
適した規模 | 小〜中規模 | 大規模 | 小〜大規模 |
ざっくりまとめると、
「とにかく低コストで運用したい」「自社運用が可能」という場合は ・・・ CMS
「お金と手間は惜しまない」「高度な独自機能が必要」という場合は ・・・ スクラッチ開発
「開発・保守のコストを抑えたい」「自社での運用は不安」という場合は ・・・ SaaS
と言えるでしょう。
3.機能を検討する
会員制サイトでは、「会員の管理方法」「情報提供の仕組み」「会員同士の交流」が重要になります。最後に、同窓会・学会・資格団体を例に、導入前に検討すべき点を整理してみましょう。
① 同窓会向け(卒業生ネットワーク)
🎯 主な目的
- 卒業生(OB・OG)とのつながりを維持・強化する
- イベント情報の発信・参加管理
- 会報やニュースの配信
🔎 検討ポイント
✅ 会員登録・認証
→ 会員登録フォーム、マイページがあるか?
✅ ネットワーキング機能
→ 交流フォーラム、メッセージ機能があるか?
✅ イベント管理
→ 同窓会や懇親会の告知・申込ができるか?決済機能はあるか?
✅ 会報・ニュース配信
→ メール、会報PDFのダウンロード機能があるか?
✅ 寄付・募金機能
→ 寄付者管理があるか?寄付履歴の表示ができるか?
② 学会向け(研究者・専門家ネットワーク)
🎯 主な目的
- 研究者・専門家の会員管理
- 学術発表・論文の公開とアクセス制御
- 学会大会・セミナーの申込管理
🔎 検討ポイント
✅ 会員の種類と権限管理
→ 正会員、準会員、学生会員、名誉会員などの区分が設定できるか?
✅ 演題の管理
→ 会員限定で演題が閲覧できるか?
✅ 学会大会・イベント管理
→ 演題の申込受付・参加者管理・タイムテーブル作成ができるか?
✅ 決済機能(年会費・参加費)
→ クレジット決済、銀行振込、請求書発行などに対応しているか?
✅ 会員間コミュニケーション
→ メールマガジンの発行、掲示板、オンラインフォーラムに対応しているか?
③ 資格団体向け(資格保有者の管理)
🎯 主な目的
- 資格取得者・受験者の管理
- 継続教育(CPD)や資格更新のトラッキング
- 資格証明書の発行・管理
🔎 検討ポイント
✅ 資格情報の登録・管理
→ 会員ごとに資格取得日・更新期限を記録し、リマインド通知できるか?
✅ 継続教育(CPD)管理
→ eラーニング、ウェビナーの視聴履歴・単位管理ができるか?
✅ 資格証明書の発行
→ デジタル証明書やOpen Badgesを発行できるか?
✅ 会費管理・自動更新
→ 年会費の決済、領収書発行、契約更新が自動化できるか?
✅ 会員ポータル・マイページ
→ 資格状況や学習履歴の確認、更新手続きの管理ができるか?
まとめ
CMSやSaaSを利用する場合、求める機能があるかどうかの確認は必要ですが、それ以上に大事なことは、その機能が要件を満たしているかどうか、事前にチェックすることです。SaaSの場合はトライアル利用ができることが多いので、慎重かつコストを考えた導入が可能です。
会員管理システムSmartCore(スマートコア)について
会員管理システムのスマートコアは、会員管理や会員制サイトの構築に特化したSaaS型システムです。
データ項目のカスタマイズや新規会員登録フォームの作成、会員データのアップロード/ダウンロード、高度な検索機能、会員マイページの提供など、多彩な機能を備えています。
また、イベント機能、掲示板、決済連携といった汎用的なオプションに加えて、大会・演題管理機能、資格管理機能といった特定の団体種別に特化したオプションも備えており、協会、学術団体、同窓会など、様々な種類の団体で利用されています。
詳細は、下記リンクよりご確認いただけます。